フィリピン人にとってのクリスマス

国民の90%近くがクリスチャンであるフィリピン。クリスマスに対する情熱は半端なものではありません。日本のように、ただケーキを食べてプレゼント交換するわけではないのです。12月25日は祝日ですし、教会でお祈りをして家族で祝って過ごします。
俗に、「Ber Month」と呼ばれるものがあります。September、October、November、December。語尾がすべて「Ber」であるこの4カ月、9月~12月がクリスマスシーズンで、基本的に1月6日までとなります。
9月に入ると、クリスマスツリーや電飾が店の軒先で売られ始めます。今年は、日本のお盆の時期に早くもクリスマスリースが販売されている店がありました。すでに、10月末のハロウィンよりもクリスマスの方が目立っていました。
10月に入るころには、各所でクリスマスツリーなどを飾り始め、店内にはクリスマスソングが流れ始めます。
ハロウィンが終わると、もう誰にも止められないとばかりにクリスマス一色です。イルミネーションも派手になります。会社や仲間内でのクリスマスパーティーに向け、仕事そっちのけで出し物のダンスや歌の練習。プレゼント交換のための品物選びも重要です。ちなみに会場は、一年前のクリスマスパーティー後すぐに予約しないとよい場所はとれないそうです。
フィリピンには、「13 month salary」といって、12月に給料一カ月分にあたる額のボーナスを支払うという法律があります。海外へ出稼ぎに行っている家族もクリスマスに帰ってきます。帰ってこられなくても、いつも以上に仕送りがあるなどでお財布も少し潤っています。
なんだかとっても楽しそうな雰囲気ですが、私たち日本人にとってはあまりよい季節ではありません。お財布が潤っている分、また家族が集まるということもあり、クリスマス前はみんなたくさん買物をします。スーパーのレジには長蛇の列が。道路は信じられないほど車で込みあいます。そして何より、犯罪が増えるのです。スリやひったくりも増えます。路上にはホームレスが立っていてお金の無心をされます。小さな子供が、はだしで一本数十ペソの花を買ってくれとせがみます。
1年の三分の一を占めるクリスマス。みんなごちそうを食べて家族とゆっくり楽しみたいが故なのでしょうが、日本人は違う意味で、家で静かに過ごすことをお勧めします。